・水の想い・


この激しい波立ちはゆうべの嵐のせい
空を覆っていた薄色の夢がひらひらと砕け散っていく朝
花は記憶を数えるように水のもとに帰ってくる
この一瞬の邂逅のために水は底の底まで澄みわたり
透明な死体のように静かにこのひとときを受けとめている
やがて短い至福のときは色あせて
花の記憶は水の記憶の中に溶けて
無限の空の悲哀も吸いこみながら
青くて深い静寂の夢に還る

(2003/04)

inserted by FC2 system