・ひな人形・


今年もひな人形を出した。長女が生まれた時に買ったものだが、東武デパートの店員が、妻に負ぶわれていた娘を見て、「ボク、雪の中を大変だったね」と言った。人形売り場のベテラン店員も、うっかり商売を忘れていたのだろうか。たしかに赤ん坊は痩せて顔だけが大きく、かわいらしくはなかったかもしれない。
1969年の春、1万2千円の米洲のひな人形は、わが家にとってぜいたくな買い物だった。私は手取り4万5千円の安月給取り、家賃が1万5千円、配給米が1キロ150円の生活だった。
あれから幾度もわが家のひな祭りはあった。娘もそれなりにきれいになって嫁に行ったが、どういうわけか、おひな様は今もわが家に残って春を迎える。

(2003/02)

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